「生活保護のよくある誤解」というブログを見ました。

 

共産党などが実態を反映していないと批判している、厚労省の統計を元に、生活保護を受給している母子世帯のうち、身体状況に問題がある世帯がとても少ないことを立証づけようとするものです。

 

生活保護母子世帯調査等の暫定集計結果(平成2 1 年1 2 月1 1 日)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1211-11c.pdf

 

この調査のサンプリング数はさておき、比率だけで考えるとしています。

 

>生活保護を利用している母子世帯は約 11 万世帯 → 母親が約 11 万人

>生活保護を利用している母子世帯の母親のうち就労していない母親は 60 % → 11 万人 × 0.6 =6.6 万人

>そのうち身体状況に問題のない 30 % → 6.6 万人 × 0.3 = 約 2.0 万人

 

生活保護受給している母子世帯11万人のうち、就労しておらず、身体的状態に問題が無い者は、2万人しかいないので、これはマイノリティだという主張です。

 

この統計に従うと、「仕事をしていない」者のうち、「仕事をしたいと思っていない」者を取り上げないとなりません。

 

これが、一般世帯4.1%、生活保護受給世帯15.7%となっており、率だけで見ても、一般世帯の3倍です。

 

これを人数でみると、生活保護受給世帯9671人となります。つまり、1万近くが、仕事が無いが就労したくない人数となります。

 

これを一般世帯の母子家庭に替えて考えていきます。

 

母子世帯数は、平成20年度国民生活基礎調査では、70万人ですから、生活保護を受給している母子世帯11万人を引くとすれば、59万人です。

 

生活保護母子世帯調査等の暫定集計結果(平成2 1 年1 2 月1 1 日)の一般母子世帯の比率を用いていきます。

 

就労していないとするに者は、一般世帯は59万人の17.6%ですので、10万3840人です。

 

「母親の健康状態」がよくない、あまりよくない者の率を、身体状況に問題があるとしていますが、実はこの統計では、「(現在無職の場合)母親の健康状態」と規定されています。これによれば、一般世帯0.3とされており、10万3840人のうち、31,152人です。

 

「仕事をしていない」者のうち、「仕事をしたいと思っていない」者は、一般世帯4.1%で10万3840人のうち、4257人となります。

 

つまり、生活保護を受給していて、仕事をしていない者で、仕事をしたいと思っていない者は、一般世帯で4257人にしかすぎないのに対し、生活保護受給している母子世帯では、9671人もおり、ゆうに2倍以上に達します。

 

これによると、生活保護を受給している母子世帯は、一般世帯の母子世帯よりも、就労したくないと考えているということを証明することになってしまいます。

 

こんなことが許されるのか、と義憤に駆られる方もいるとは思います。

 

しかし、これには、大きな問題がある統計データを利用していることから、導き出した誤った回答です。

 

生活保護母子世帯調査等の暫定集計結果(平成2 1 年1 2 月1 1 日)は生活保護世帯の母子世帯11万人のうち、たった136世帯のサンプリング調査ですから、0.1%たらずです。一般の母子世帯は、59万人から考えると、0.6%を調査対象としています。

 

こんなサンプリング数が少ない調査で、生活保護受給者総数の比率を計算することは危険といえます。都合の良いデータしか使わないということが背景にあると思いますが、だからこそ、別の誤った考え方も示されてしまうということがありますので、注意された方がよろしいです。