○取得時効(162

・要件

①所有の意思

②平穏、公然

③他人の物の占有(10年または20年)

④占有開始時に善意無過失(短期取得時効の場合のみ)

 

・要件の推定規定

→占有者は、所有の意思、平穏、公然、善意が推定される(186Ⅰ)

→占有継続について、占有開始時と終了時を立証すればその間継続していると推定(186

→無過失は推定されないので、時効援用者が立証する必要がある。

 

;取得時効の趣旨

①永続した事実状態の尊重

②立証の困難の救済

 

・自己物の取得時効

→可能(判例)

∵自己物であっても過去の事実の立証が困難であるということは変わらない。他人物であれば保護されるのに、自己物であるが故に保護されないというのは不当。

 

・中断、停止、援用、時効利益の放棄

→消滅時効の場合と基本的に同様。

→占有を奪われた場合には自然中断(164)。この場合には法定中断の相対効を定めた148は適用されない。

→時効の援用は相対効。

 

※取得時効と登記(Aの土地をBが善意無過失で10年間占有)

BAに時効を主張するのに登記は不要

∵時効は法的には原始取得であるが、それは法的擬制であって、実質的にはABは前主後主の関係に立つ。

②時効完成前にAから土地を譲り受けたCとの関係でも、Bは登記不要。

∵①と同じ。

③時効完成後に現れたDとの関係では、登記が必要。

∵あたかもAを起点とする二重譲渡の関係とみることができる。

④時効の起算点はずらせない。

∵②~③のルールが無意味となる。

Dの登記後、さらに取得時効に必要な期間占有すれば、また時効を主張できる。

 

○その他の原始取得

・無主物先占(239Ⅰ)

→所有者のいない動産を、所有の意思で占有することによりその所有権を取得できる。

→所有者のない不動産は国庫帰属(230Ⅱ)

・遺失物拾得(240

→公告後3か月以内に所有者が判明しないときは、拾得者がその所有権を取得する。

・埋蔵物発見(241

→公告後6か月以内に所有者が判明しない場合には発見者がその所有権を取得する。

→他人の所有する物の中から発見された埋蔵物は発見者とその物の所有者が等しい割合でその所有権を取得する。

・添付

 

○添付

・種類

①不動産の付合(242

②動産の付合(243244

③混和(245

④加工(246

 

①について

・不動産に従として付合した場合には、不動産所有者はその物の所有権を取得する(242)。

⇔権原によって付属させた場合には付合しない(但書)。権原を第三者に対抗するために対抗要件具備が必要(判例)。

・「従として付合」とは、分離が不可能である、又は分離により不動産や付着した物が著しく損傷したり、分離に過分の費用を要するため分離が不相当である場合。

 

②について

・所有者を異にする数個の動産が結合して、損傷せずに分離することができなくなったり、あるいは分離に過分の費用を要する場合をいう。

・合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属する(243

・主従を判断できない場合は、価格割合に応じた共有となる(244

 

③について

・液体がまざりあうように、もとの物の識別が出来なくなった場合。

・動産の付合の規定が準用される。

 

④について

・他人の物に工作を加えた場合。

・加工物の所有権は材料の所有者に帰属。

・工作により価格の上昇が著しい場合には加工者に所有権が帰属。

 

S54.1.25(加工と付合)

YXに建物建築を依頼、XYの請負契約は不動産に至らない段階で合意解除。Yは残りの工事をZに請け負わせ、Zが建物を完成。Xは本件建物の所有権が自己にあると主張。

→所有者はY

243ではなく246を適用すべき。加工者が材料の一部を供給した時は、その材料価格に工作によって生じた価格を加えたものが、他人の材料の価格を超えるときは、加工者がその物の所有権を取得することになる。

 

○共同所有関係(249

・共有者は、共有物の全部についてその持分に応じた使用をすることができる(249

→使用については持分の価格による過半数の協議で決する(252)。

→保存行為(滅失や損傷を防止する行為)は単独できる(但書)

・変更には共有者全員の同意が必要(251)。

→共有者の一人が共有地を変更しようとする場合には、共有者は妨害排除請求権の行使として工事の差止めや原状回復が出来る(判例)。ただし、場合によっては妨害排除請求権の行使が権利濫用となる場合もある。

・持分権の譲渡は自由(明文なし)。

・共有者の一人が他の共有者の持分を侵害している場合、持分侵害されている共有者は侵害者に対して引渡しを求めることは出来ない(判例)。

∵個々の共有者は共有物全体を使用する権利を有している。

→持分権侵害の救済は、損害賠償又は共有物管理協議→共有物分割の方法によるしかない。

→第三者が共有者の一人から占有使用権限を与えられていた場合も、他の共有者は返還請求をすることは出来ない。

※不実の登記と共有

・共有者の一人が勝手に単独名義の登記をしている場合には、他の共有者は自己の持分の登記(更正登記)だけを請求できる。

・全くの無権利者が単独名義の登記を有する場合は、各共有者は単独で妨害排除請求として登記の全部の抹消を請求できる。自己への全部移転登記は不可。

・共有者の一人から譲渡を受けた者の登記がある場合、その譲渡が無効である場合には、他の共有者も登記の抹消請求ができる。

∵自己の共有持分が侵害されているわけではないが、他の共有者は誰が自分と共に共有者であるかについて利害関係を持っている。

※共有物の分割

・各共有者はいつでも共有物の分割を請求できる(256Ⅰ)

→協議がまとまらない場合には裁判所に分割を請求出来る(258Ⅰ)

→裁判所は、現物分割が相当でない場合には競売を命じることができる(258Ⅱ)

・分割の方法

→現物分割が原則。

→共有物が多数の不動産である場合、各部分を単独所有とし、生じた過不足分を金銭で調整することも出来るし、多数の共有者の一人が分割請求をしたときに、当該請求者の持分の限度で現物を分割し残りを他の共有者の共有として残すことも認められる。

→特段の事情がある場合には全面的価額賠償も認められる(判例)。特段の事情とは、①特定の者に取得させるのが相当である、②持分価格の賠償でも共有者間の実質的公平を害しないと認められること(取得者に支払能力がある等)である。